オミクロン (BA.1) 株にも中和活性を示す改変抗体を分子シミュレーション解析で作製
抗体取得・TCR解析部門|2024.1.16

富山大学が昨年取得し、「スーパー中和抗体」と命名したヒト型・モノクローナル中和抗体(開発番号:UT28K)は、新型コロナウイルスの武漢からデルタ株までの変異株に対して中和活性を示します。一方オミクロン (BA.1) 株に対しては、オミクロン株で新たに出現した変異によって、中和活性が大幅に損なわれました。
そこで今回、オミクロン株に対しても中和活性を示す抗体を作出するため、UT28KがウイルスのRBDドメインとどのように結合するか実験的に観察し、得られた立体構造を元に、オミクロン(BA.1) 株に対しても中和活性を示す改変抗体を、分子シミュレーション解析にてデザインしました。改変型のUT28K-RD抗体を実際に作製してその特性を解析したところ、中和活性が確かに回復することを実験的に証明しました。
今回の研究によって、ウイルスの変異によって中和活性が大きく減弱した抗体であっても、分子シミュレーション解析技術を用いて改変することにより、中和活性を復活させることが可能である事を実証しました。
https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20240116.pdf
論文
(1) Structure doi:10.1016/j.str.2023.12.01