経鼻ワクチン接収後に誘導される抗体の多様性と機能性に関する研究
新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは主として皮下や筋肉注射によって接種されています。これらの手法によって誘導されるIgG抗体は重症化を低減させる効果はあるものの感染防止効果は限定的です。それに対して鼻腔に抗原を直接摂取する経鼻ワクチンは、粘膜にIgA抗体を誘導することで、強い感染防止効果が期待されます。しかし、鼻腔で感作された抗原特異的抗体産生細胞が全身の免疫に対してどのよう貢献しているかを分子レベルで証明した例はありませんでした。われわれのチームは経鼻ワクチン接種後の鼻腔粘膜組織から抗原特異的IgAモノクローナル抗体の大規模取得に世界で初めて成功しました。得られた抗体クローンの可変領域の構造解析から、鼻腔で感作された抗体産生細胞は、脾臓や肺などのリンパ節に移行し、そこで抗体を産生することで、全身性の免疫にも貢献することを証明しました。

鼻腔で感作された抗体産生細胞は、脾臓や肺のリンパ節に移行して全身の免疫に関与する