分子シミュレーションと数理モデルによる漢方薬副作用の病態予測

主として肝臓でのビリルビン代謝で知られるUGT1A1は、グルクロン酸抱合反応により多くの化合物の代謝を担っています。例えばある抗がん剤投与時の副作用は、UGT1A1の遺伝子変異が原因であると経験的に分かっており、投与前の遺伝子検査による副作用予防が行われています。我々の部門はバイオインフォマティクスによりその抱合反応メカニズムを解明し、数理モデルを導出しました。この数理モデルを利用し、ある漢方薬の副作用の原因がUGT1A1遺伝子の変異であるとの予測結果を得ました。現在、副作用を生じた患者さんの協力を得てUGT1A1遺伝子を解析し、予測の検証を始めています。最初の1名の患者さんでは、予測通りUGT1A1の遺伝子変異を見出しており、「検証から予測へ」の第一歩として研究を進めています。

分子シミュレーションと数理モデルによる漢方薬副作用の病態予測

数理モデルによる予測値と実測値